ブラックホールを雑に学ぶ 1. 重力とは何者か

モチベーション維持のためにまずは何か書いてみよう。まあ、最初はブラックホールをお題にしてみたいと思う。素人レベルの知識は持っているので数回分書けそうだし。それにみんな聞いたことあるだろう、名前くらいは。

 

そもそもブラックホールってなに

早速ブラックホールというのが何者なのか調べていこう。最近はネットも普及しているしとりあえずググってみる。すると

ブラックホール(black hole)とは、きわめて高密度かつ大質量で、強い重力のために物質だけでなく光さえ脱出することができない天体である。wikipediaより)」

とある。

なるほど、つまりブラックホールは光が脱出できないくらい重力が強い星なんだ...!

・・・つまりどういうことだってばよ?

 

重力って何者?

さて、上の文章を理解するにはまず、重力について知らなければいけない。

その前にまず、次の問題について考えてみよう。

(上記の定義に照らし合わせて、地球などの星を限界まで圧縮すればブラックホールになる、ということを前提とする。)

 読者諸兄が今座っている場所から動く間もなく、地球がその重心に向かって収縮し、突如としてパチンコ玉くらいのサイズに圧縮したとイメージしてほしい。

6000000000000000000000000 kg*1 のパチンコ玉に変わり果てた地球はブラックホールになってしまった!

このとき読者諸兄はブラックホールからどのような力(重力と言ってもいい)を受けるだろうか?

 

ブラックホールについて多少なりとも知っている方の中には、

「聞いたことがある...ブラックホールに飲み込まれるとき、物体はまるでパスタのように細く伸ばされてしまうッ...!*2

と思う人もいるだろうし、そうでなくても、地球質量とはいえブラックホールだ、いったいどんな強大な重力が及ぶか想像もつかないぞ。と思った方もいることと思う。

 

しかし、実際には重力はほとんど変化しないと考えられる。

ともすると私たちの感覚とはズレた事実かもしれない。

では、私たちがなんとなく知っているような気がする重力とはいったい何者なのか。

 

 

  \displaystyle F = \frac{GMm}{r^2}

 

 これは、高校の物理の教科書に載っている、万有引力*3の式である。

ここではそれぞれ、F:力 G:万有引力定数 M,m:力を及ぼしあう2物体の質量*4 r:2物体の重心間距離 を表している。

つまるところ、万有引力というのは質量をもつ二つの物質があるとき、その二つの質量を掛け算して、二つの物体間の距離の二乗で割ったものの何倍か(具体的にはG倍)の大きさの力ということ。

 

質量は掛け算だから当然、重ければ重いほど強い万有引力を及ぼす。一方で距離は割り算だから近ければ近いほど強い万有引力を及ぼすって話だ。

そして、この式を見る限り、定数と質量、距離以外の要素が見当たらない。裏を返せば、質量をもつ物体どうしは常に万有引力を及ぼしあっているのだ。

しかし私たちは、磁石が磁力でくっついたりするのは見たことがあるが、物体が万有引力でくっついてしまうのは見たことがない。これはひとえに万有引力定数(G)の値が小さくて、相当大質量でないと目に見える大きさの力が働かないのが原因である。

 

さて、なぜ急に万有引力について語りだしたかということに話を戻そう。それはズバリ、「重力」という言葉はほぼ、万有引力のことと考えて差し支えないからである!

なぜこんな持って回ったような言い方をするのかというと、「重力」というのは厳密な物理用語としては不適切で、用いられる場所によって少し意味が変わってしまうからだ。単に「重力」という場合普通、地球上で私たちが地球から受ける力のことを言い、これは遠心力(地球とともに自転する我々が宇宙に飛び出そうとしてしまう勢い)を万有引力に加えたものである。

一方で宇宙で天体について論じているときなどは、万有引力のことを指して「重力」という言葉を使う。*5

 

ここまでの話で、重力というのはお互いの物体の質量と距離とで決まっているらしいということはわかった。

つまるところ地球が今の大きさでも、野球ボールくらいでも、パチンコ玉サイズでブラックホールになっていても、私たちとの距離が変わらない限り、私たちの受ける重力それ自体は変わらないのである。

 

大事なことなので言いなおそう、というより、想像してみてほしい。 

せっかく地球をパチンコ玉サイズに圧縮しても、私たちが受ける力は変わらない。ブラックホールになる直前、スーパーボールくらいだった頃も、ブラックホールになってなお収縮を続け砂粒くらいの超高密度星になっても、私たちの受ける力は変わらないのだ。

 

むむむ。なんだかブラックホールに対して抱いている超重力の凄い星ってイメージが崩れてきたぞ...?

それに質量を持っていないはずの光が重力と一体何の関係が...?

 

 

といったところで、今回はここまで。次回は(あれば)実際に、ブラックホールがどんな振る舞いをしているのかを見てみることにしよう。

 

 

 

*1:地球上のものでわかりやすく例えようと思ったけど地球上に地球の重さを例えられる重量のものはなかった

*2:潮汐力による効果、機会があればこれも語ろう

*3:かのアイザック・ニュートンが発見した。リンゴが木から落ちるのを見て思いついたらしいが、そのエピソードのやばいところは、リンゴが木から落ちるのを見てリンゴが地球に引っ張られていることはおろか、リンゴが地球を引っ張り返していることにも気付いてしまったところ

*4:重さではない。混同しないようにしよう

*5:日本語の専門用語に、TPOによって微妙に意味が変わるヤツがいるの、何でなんですかね...?

ブログ開設

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塾の講師をやめてからというもの、アウトプットの機会が減ってストレスを感じるので、自分の中にある知識や今勉強していることなんかから雑学に使えそうな事柄を中心に雑に書いてみる。そんな場所としてブログを開設してみた。運用の頻度は不明。

 

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